2025年3月、さいたま市立中学校の卒業式で、不登校の卒業生6人が体育館の2階ギャラリーに案内されました。
しかし、そこには椅子が用意されておらず、代わりに平均台に座ることを余儀なくされました。
卒業式は約3時間にわたって行われ、その間、6人の生徒は冷たい平均台に座り続けることになりました。
学校側の説明と対応
学校側の説明によると、6人の生徒のための椅子は前日に2階ギャラリーへ運ばれていたものの、全ての教職員にその情報が伝わっておらず、椅子が別の場所に並べられてしまったとのことです。
卒業式当日、相談室の相談員に引率されてギャラリーに案内された生徒たちは、椅子がないことに気づき、その場にあった平均台に座ることになりました。
この事態を受けて、市教育委員会は「非常に配慮に欠ける対応だった」として、校長を厳重注意しました。
校長はその後、6人の生徒と保護者に謝罪し、再発防止のために教職員間での情報伝達を徹底し、人権意識を向上させる研修を行うことを約束しました。
専門家の見解
教育専門家からは厳しい意見が相次いでいます。
学校改革プロデューサーの石川一郎氏は「卒業式はどの学校でも入念に準備をするのに、座席が無かったというのは言語道断」だと指摘しています。
心理学の専門家である碓井真史氏は「3時間も気づかなかったという点がよく理解できない」と疑問を呈しています。
元中学校教員からも「卒業式は必ず一ヶ月以上前から協議され、不登校生徒への対応も事前に準備するのが当然だ」との声が上がっています。
このような対応が不登校生徒に与える心理的影響は大きく、特に学校に行くことに困難を抱えていた生徒にとって、卒業式への参加は大きな一歩だったはずです。
SNSでの反応
ソーシャルメディア上では、この事件に対して多様な意見が寄せられています。
「頑張って卒業式に参加したのに、ひどい仕打ち!」「不登校生徒が卒業式に参加するのは勇気がいること。蔑ろにされた思いはずっと残る」といった声が多く見られます。
一方で、「学校側が意図的に平均台に座らせたわけではない」という指摘もあり、報道のあり方についても議論が起きています。
まとめ
さいたま市立中学校での卒業式における不登校生徒への対応は、教育現場における配慮不足と連携の問題を浮き彫りにしました。
この事件から考えるべきポイントは、不登校生徒にとって卒業式への参加は大きな一歩であり、その勇気を尊重する環境づくりが重要であること、教育現場のコミュニケーション不足が生徒の心に傷を残す事態を招くことがあること、そして学校行事における細部への配慮と教職員間の連携強化が必要であることです。
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